野球選手に起こる血行障害
野球選手の血行障害、あまり聞きなじみがないかもしれませんが、選手の約25%は手指の痛みや感覚障害があるというデータもあります。
また、高校・大学・社会人と競技生活が長くなるにつれ発症の確率が高くなってきます。
今回は野球選手における手指血行障害について、どういったものなのか?原因や対策について説明していきます。
《病態》
橈骨動脈と尺骨動脈によって形成された動脈弓から分岐した手指の動脈は、それぞれの指の掌側の橈側と尺側に1本ずつ固有指動脈があります。
その動脈が衝撃や圧迫により、攣縮・狭窄・閉塞することにより血行障害が生じます。
《原因》
捕球動作・投球動作によって生じてきます。
中でも捕球動作による影響が大きく、捕球の際に起こるボールの衝撃の繰り返しによって生じてきます。
捕手では、投手の球速のあるボールを繰り返し受けることにより起こってきます。内野手では特に遊撃手に多く、理由としては薄手のグローブを選ぶことも多く捕球時の衝撃が入りやすいことも要因として考えられています。
また、投球によっても生じることもあり、投球によるリリース期での手指の過伸展の繰り返しによって起こります。
《発症部位》
示指の発症が最も多く、次に中指での発症が多いです。
上記2本のみならず、全指に発症する可能性があります。
《症状》
冷感、痺れ、疼痛、蒼白、チアノーゼ、爪の変形
血行障害のある選手では、障害のある指先の温度が、いくら身体を動かしても15℃以下になってしまっているという特徴があります。これは冷たさを痛みとして感じる温度でもあります。
*また血行障害による影響として、爪が割れるトラブル、アカギレや切り傷が治りにくくなるという傾向もあるので注意が必要です!!
《診断》
・Allen test
・サーモグラフィ
・超音波検査
・ドプラ検査
・造影MRI
《治療》
・保存療法
安静
禁煙
保温
手袋や衝撃吸収パッド
・手術療法
虫様筋管開放・腱膜や靭帯切離:手掌部での圧迫の場合
Cleland靭帯切離:固有指部での絞扼の場合
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