膝の痛み ~屈曲初期に起こる膝窩部の痛みへの対応~
膝関節障害の症状の一つとして屈曲初期の膝窩部の痛みがあります。
臨床において膝関節の痛みとして膝内側、外側、Patella周囲に痛みを訴えることが多い。しかし、屈曲初期や歩行のMSt~TStでの屈曲時に膝窩部の痛みを訴えることも少なくありません。
今回屈曲初期に生じる膝窩部の痛みに着目し、臨床で取り組んでいることを書いていきます。
- 痛みの原因は?
- 膝窩筋の機能解剖
- 改善方法(膝窩筋・鵞足・大腿四頭筋の操作)
- まとめ
痛みの原因は?
膝関節の裏には筋、靭帯等多くの組織が存在しますが、
屈曲初期に生じる膝窩部の痛みとして多くみられるのは膝窩筋由来の疼痛だと考えています。
膝窩筋の機能解剖
膝窩筋はその名の通り膝窩部に存在する細く短い筋肉である。
起始:大腿骨外側顆外側面(起始部は外側半月板と外側側副靭帯の間に位置する)
停止:脛骨後面ヒラメ筋線上部
大腿骨~脛骨にかけて斜めの走行となっており回旋の作用がある。
改善方法
・膝窩筋の操作
屈曲初期での膝窩筋の活動
伸展された状態から屈曲を開始する際、膝窩筋は脛骨を内旋させ膝を緩めます。
この作用により膝関節の固定状態が解除され屈曲運動が開始されます。
荷重位においては、脛骨に対して大腿骨を外旋させて固定状態を解除する作用があります。
以上の事から膝窩筋に対してのエクササイズは伸展からのロック解除を目的としたものを実施していく必要があります
一つは純粋に下腿の内旋運動を自動で繰り返すこと
もう一つは伸展域からセラピストのアシストを入れながら屈曲運動を行い、収縮を賦活していく方法があります。
・鵞足の操作
鵞足の働きとして、膝関節の外反制動、膝関節の内側安定化があります。
今回の膝窩部の疼痛を抑えるための重要な機能として伸展最終域での強力な外旋を弱める働きがあります(遠心性機能)。
鵞足が機能せず強い外旋が生じた場合、拮抗する内旋運動が生じにくいだけでなく、膝関節の回旋異常をもたらし、半月板損傷やOAのリスクが上がってしまいます。
鵞足の状態を整えることで、膝窩筋への負担軽減になります。
操作としては、
・シンプルに薄筋、縫工筋、半腱様筋それぞれを選択的に収縮させ強化していく方法です。
セラピストがそれぞれの筋に対して徒手的に誘導し収縮の賦活をしていくことで、回旋異常を抑えることが出来る可能性があります。
・大腿四頭筋の操作
荷重位において、大腿四頭筋が関与する場面としてHC~LRでの遠心性収縮、MSt~TStでの大腿四頭筋の脱力があると考えています。
屈曲動作のみに着目するのではなく、歩行時の疼痛改善には、
・大腿四頭筋の脱力を学習していく
バイオフィードバックや収縮・弛緩の蝕知などによる運動学習の練習
・大腿四頭筋の遠心性収縮の運動
HC~LRにかけての動きになるため、浅い角度で遠心性での活動を促す
4.まとめ
拙い文章で述べてきましたが、局所の状態改善には上記の操作を加え治療を進めています。
また新たな治療法がないかこれからも試行錯誤しながら取り組んでいきます。