半月板損傷 手術方法とリハビリの流れ
現代において膝の疾患に悩む人はとても多いです。
特に高齢者、学生、スポーツ選手に幅広く生じるものとして膝の半月板損傷があります。
病院に受診し半月板の損傷や断裂が指摘された際、手術を進められることも多いです。
半月板の手術とはどんなものなのか?リハビリはどのくらいかかるのか?中には学校の休み、仕事の休みの調整をして受けられる方も多いと思います。
私自身、半月板の手術をした際、どのくらいの期間が必要なのかとよく聞かれます。今回、手術とはどんなことをするのか、リハビリはだいたいいつまでするのかについて説明していきます。
《手術方法》
半月板の治療では保存療法・手術療法のどちらかを選択して行われるが、手術が施行されることが非常に多いです。保存でも良好な成績が得られることもあるが、よく行われる手術療法とその後のリハビリについて説明を進めていきます。
半月板の手術には切除術と縫合術の2種類があります。
*切除術
切除術とは余計な部分、断裂して修復困難な部分を切り取っていく作業をすることです。
切除術の基本は、半月板の損傷部分および不安定な部分を切除しますが、なるべく切除する大きさは最小限に留めるようにしています。
半月板を切除した場合、切除量が僅かであっても脛骨大腿関節の接触面積が大きく減少し、接触圧が増大します。この接触圧は接触面面積と脛骨大腿関節に加わる圧迫力によって決まります。したがって、経年的に変形性膝関節症のリスクは上がってきます(半月板を切除することで変形性膝関節症になりやすくなります)。
また、膝関節に過剰な圧迫力を加える大腿四頭筋の筋力向上は接触圧増大のリスクとなります。さらに後方重心での着地の際には、大腿四頭筋のさらなる活動が必要となり、より圧迫力の増大につながります。
*縫合術
縫合術には大きく分けて3種類に分けられます。
それぞれinside out法、all inside法、outside in法の3つです。
それぞれの損傷部位の違いによって、適した方法を選択し行っています。
・inside out
関節内から関節外に針と糸を出して縫う方法で、半月板縫合術の最も基本的なものです。
中~後節の損傷に対して施行されることが多いです。
後方から3~4㎝の皮切を入れ、皮下組織をよけて関節包まで展開し、中から半月板を通した糸を関節包の外で縫う。このため術後伸展時の痛みやつっぱりを訴えることが多いです。
・all inside
針と糸を関節内に誘導し、すべて関節内で縫合する方法です。糸を関節外で取り出すことがないため、皮下組織を展開する必要がないため、他の2つより低侵襲という点で有利です。
中~後節の損傷に対して施行されることが多いです。
関節内での処置のため、inside outよりも疼痛が少ないです。
・outside in
針と糸を関節外から関節内に通して縫合する方法です。
前節に用いられることが多いです。
《リハビリテーションの進め方 各周期での取り組み》
*半月板切除術後のリハビリテーションの流れ
術後1日:アイシング・圧迫での腫脹管理
膝関節可動域訓練
Quad setingなどの膝関節周囲筋エクササイズ
患部外トレーニング
可及的な荷重・歩行訓練
術後1w:歩行訓練
両脚スクワットなどのCKCでのトレーニングも徐々に開始(腫脹・疼痛に応じて)
術後2~3w:片脚スクワットなど筋力トレーニング強化(腫脹・疼痛の状態に応じて)
全荷重での歩行獲得
術後4~6w:ジョギング
最終屈曲可動域獲得(正座・しゃがみ込み)
術後2M:ジャンプトレーニング開始
ノンコンタクトプレーより徐々に復帰
術後2.5M:ジャンプ・アジリティトレーニング
術後3M:競技復帰
*半月板縫合術後のリハビリテーション
術後1日:アイシング・圧迫での腫脹管理
膝関節装具固定
Quad setingなどの膝関節周囲筋トレーニング
患部外トレーニング
荷重は非荷重
術後1w:膝関節可動域訓練
*術後4wまでは屈曲可動域120°までに制限(半月板の治癒を考慮して)
術後2w:可及的な荷重・歩行訓練
術後3w:両脚スクワット
術後4w:膝関節可動域120°以降の可動域訓練開始
術後6~8w:片脚スクワット、ランジ
術後8w:ジョギング開始
最終屈曲可動域(正座・しゃがみ込み)獲得
術後3M:ジャンプ・アジリティトレーニング
ノンコンタクトプレーから徐々に開始
術後4M:競技復帰
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